夢の内容を解いて、判断し、占うことになりますが、この夢解きにはもちろん唯一正しい正解があるわけではなく、辞典を引くようには簡単にはいきません。『周公解夢』にしても、夢解きのヒントなわけであって、それそのものが正解を指し示すものではありません。
夢解きの際に肝心なのは、夢を見た時の環境を思い出すことです。夢解きは必ずしも夢の内容だけで判断するものではなく、各種の環境、特にその夢を見た時点でのその人の潜在意識を探ることも重要です。
とは言っても、目に見えないから潜在意識なのであって、その潜在意識を探ることは並大抵ではありません。だから、言葉にできること、文字にできることは全てつまびらかにした上で、夢の内容を解いていく必要があります。
また、夢から覚めて、その夢の内容を探ろうとする時、意識・無意識のうちに、その夢の内容に整合性を持たせるような作業を行っている場合もあり、そうした作業を通じた「夢の修復」後の夢の内容を解いていくことにはあまり意味はありません。そのため、夢解きでは、下手に整合性を持たせようとするのではなく、夢に見た事象、事物をキーワード的に抽出する、ぐらいの気持ちが良いかもしれません。
小魚が渓流で気持ちよさそうに泳いでいる光景を見た。
とします。その際、自分の視点がどこだったのか(小魚だったのか、その渓流を見渡せる場所に立っていたか、など)は重要ですが、「この渓流は、確か私の故郷の近くの…」などと無理に「思い出そうとする(往々にしてそれは夢から覚めた後の“修復”作業です)」必要はありません。「小魚」「渓流」「気持ちよさそう」「泳いでいる」というのが重要になってくるわけです。
その上で、『周公解夢』及び中国の夢判断・夢占いにおいては、大きく以下の通りに夢解きの方法を分類します。
1.夢は事実の反映である。
「日ごろ思っていることを、夢でも見る」という状態です。夢を見る、というのは非常に正常なことであり、多くの人が夢を見ます。夢から覚めた後、この夢は以前に起きたことだ、あるいは以前にも見た夢だ、現在もそうしたことが起きている、事実と夢は完全に一致している、という状態で、「夢は事実の反映である。」となります。これはそのままのことなので、夢解きも何も必要ありません。
2.夢は天の啓示である。
中国人は天、あるいは天帝というものの存在を古来より信じています。これはある意味で複雑で、ある意味では簡単な概念でもありますが、ここでは人ではない人間世界の営みを大局的に見渡し、何もなければ天命を授けた人間の支配に任せ、何かあれば間接的に介入する存在と理解してください。
古来から、夢は天が人に対して行うお告げだという考え方が中国にあります。あるいは、夢という手段を通じて、天と人がコミュニケーションをとるという考え方になります。中国の天という概念、人格としての天帝、それらを内包する“大道の理”、それらが夢を通じて訴えかけてくる、ということになります。
この種の夢こそ、『周公解夢』及び中国の夢判断・夢占いが解決すべき課題となります。
3.夢は自身の生命の暗示である
これも中国の文化と密接に関わってくる種類のもので、漢方、いわゆる中医学です。中医学では人体の陰陽の不調が、その人の気に関わってくる、その気の盛衰が病気になるかどうかを決めるという考え方があり、その点日本でも「病は気から」などの言い方と似通っている部分があります。
その気や気の動きが、夢を見させるという考え方です。例えば、大火、特に自分の身体を焦がすような苦しい大火の夢を見たとすると、陽の気が旺盛すぎ、陰の気とのバランスが取れておらず、口内炎などの実体症状が起こる前触れととらえます。
また、もし夢の中で自分が怒りっぽくなっており、大いに怒っていれば、それはもしかすると肝臓に問題があるかもしれません。肝臓に熱がこもり、容易に肝臓の病気にかかる予兆を示すと考えられています。
もし大いに恐れているような夢を見た場合、その恐れで頭がおかしくなり、泣き出すような事態になっていれば、肺に異常がある可能性があります。
4.夢は事実と異なる、対極にあるもの。
夢と、夢から覚めた後の事実が大いに異なる、真反対だ、というケースは古来より報告されています。こうしたケースも、物事には必ず両面があるという至って自然の摂理に沿った、正常なことであると考えられます。特に極端な夢の内容の場合、そうしたケースが多いとされます。
例えば、人が死ぬ夢を見た場合、夢から覚めた後は大吉となる、とか、自分が死ぬ夢を見た場合、逆に長寿を寿ぐもの、とか、大もうけをする夢を見た場合、まもなく破産する、とか、誰かが大笑いしている夢を見ると、その人は実は大きな災いが訪れようとしている、とか、などが一例です。
この部分でも、経験則に基づき、長い歴史によってノウハウを蓄積してきた『周公解夢』及び中国の夢判断・夢占いにおける夢解きの最も得意とするところとなります。
5.別の方法を用いて解く(別解)。
夢から覚めた後、その内容を卜占などによって改めて夢解きするようなケースです。卜占による吉凶が、夢の内容そのものの吉凶と繋がっていると考えます。卜占に限らず、八字五行なども利用します。
しかし、八字五行は中国の占卜算命では基礎中の基礎であり、『周公解夢』の夢解きも通常、多かれ少なかれ必須のデータになることが多いので、そうした意味では、夢の内容だけで夢解きを行い、夢判断・夢占いするわけではない、という原則から考えれば、全てがこの別解にならざるを得ない、とも言えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿