2012年7月15日日曜日

南柯一梦~栄達から転落まで、急落差を経験する夢

夢に関する中国に古来から伝わるエピソード、略して、夢エピ。今回は、「南柯一梦」。

南柯一夢は、唐の李公佐『南柯太守伝』にあるお話。全体的なストーリーは、「黄粱一夢」、つまり邯鄲の夢、邯鄲の枕と同種なものですが、「黄粱一夢」が成功を極めた末に夢から覚める、というのと違い、「南柯一夢」は成功後から一転、大失敗となった後に夢から覚めるという構図になっています。

主人公の淳于棼という若者が、自分の誕生日に祝いに来てくれた友人と共にお酒を飲み、散会になった後、庭に出て大きな槐(えんじゅ)の木の下で眠ってしまいます。夢の中で淳さんは、槐の木に丸々と開いた大きな穴の中に導かれていきます。そこが大槐国です。淳さんは大槐国の科挙を受けて、順調に試験を通過、最終試験の皇帝面接に進みます。

面接に望んだ皇帝は淳さんの才能はもちろん、そのイケメンさにもほれ込み、淳さんは見事、科挙一等である状元になります。皇帝は自分の娘の皇女を淳さんに嫁しもしました。結婚後、まもなく淳さんは南柯太守に任じられ、南柯郡に赴きます。それから30年、淳さんは一生懸命仕事に励み、領民にも慕われ、その善政が全国的な話題にもなりました。その間に、五男二女の七人の子供にも恵まれました。皇帝はその才を愛しんで中央に呼び戻そうとしましたが、領民が淳さんの帰任を強硬に阻止、皇帝も喜んで帰任命令を取り消しました。

そうこうしているうちに、大槐国は他国に攻められます。他国の軍勢は強力で、大槐国軍はその進行を食い止めることができません。おろおろする中央高官たちが思いついたのが、淳さんを中央に呼び戻し、この難局に対応させようというものでした。皇帝もそれにうなずいて、淳さんは中央に戻り、侵略軍に対する将軍になります。

根がやる気満々の淳さんは、将軍としても張り切ってがんばろうとしますが、軍事はからっきし。侵略軍との戦闘で大敗北を喫し、率いた大軍は壊滅状態になります。失望した皇帝は淳さんを解任、平民に格下げしてしまいました。

淳さんは自分の栄達と転落のあまりの落差に、恥ずかしく、憤り、大声を上げました。

その瞬間、夢から覚めます。夢から覚めた後、大槐国への入口だった穴を探してみると、それはアリの住処となっているほどの小さな穴に過ぎませんでした。

以上のような説話です。

夢はあくまでも夢、という構図ではありますが、その夢の内容に盛者必衰を盛り込んでいる所が変わっています。現在ではその内容はともかく、「南柯一夢」は「夢のまた夢」というような意味の成語になっています。

0 件のコメント:

コメントを投稿