2012年7月24日火曜日

大唐帝国建国の真の功労者、初代皇帝が見た夢が関係した?

長い歴史の中では、天下人がその天下を手中に収める、あるいは失うということに関する夢もあります。代表的なのが、唐の高祖と三国志の曹操のものです。

唐の高祖は李淵です。魏晋南北朝時代の混乱を治め、全国統一を果たした隋(581年-618年)の高官でした。反乱を起こして隋を打倒、自身の王朝として、唐(618年-907年、一時中断あり)を打ち立てます。

そんな李淵が、打倒隋に立ち上がるかいなかの頃、史実に基づけばおそらく617年、太原留守(総督)の地位にある時だったと思われますが、不気味な夢を見ます。『太平広記』や宋の時代の『紀異録』に収録された説話です。

李淵が見た夢というのは、ベッドから落ちて、蛆が身体に這い上がり、全身を覆う、というものです。「身死墜床、為群蛆所食。」とも言いますので、それであれば、死んで、ベッドから落ちて、蛆の群れに食べられてしまう、というものです。

夢から覚めた李淵は、この夢が死を予兆したもので、反乱に立ち上がっても死ぬだけだから、必ずそれは失敗する、隋の臣としてこれからもがんばった方がよい、と判断を下します。

しかし、夢の話を聞いた側近が李淵に忠告します。「ベッドの下に落ちる(落在床下)ということは、“陛下”を意味します。蛆が身体に這い上がる、ということは、多くの人に頼られることを意味します。つまり、皇帝におなりになるべきです」。

これを聞いた李淵はやっと打倒隋に立ち上がることになります。

夢判断としては、悪夢が必ずしも凶事の予兆ではないという典型といえますが、側近の解釈も少し無理はありそうです。しかし、臆した李淵を立ち直らせて、その気にさせた、この側近は大唐帝国建国の功労者といえるかもしれません。

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