2012年7月23日月曜日

中国の夢判断、夢占いの発展は「夢解き」民営化が原因

後漢の文人・思想家である王充の旺盛な批判精神とその著作、思想体系によって、国の「夢解き」機能(制度、官職や為政者による重視)は薄れていくことになります。

しかし王充は、讖緯説・陰陽五行説以外にも、儒学・儒教に対しても厳しい批判を行ったことから、時が下って、隋唐から宋にいたり、朱子学がまとまり普及徹底していくにしたがって、儒学・儒教をイデオロギーとする支配体制が確立すると、異端視されて省みられることがなくなっていきます。

儒学・儒教体制を否定して生まれたという経緯のある現在の中国(中華人民共和国)においては、逆に一時期、孔子や儒学・儒教に対する批判の先駆者として評価されるようになります。これは、現状を批判し(本来はその中から社会を改善していこうとする)共産党的な考え方が、王充の旧習批判と接近したものだったという背景もありそうです。

それはともかく、王充の登場と影響力拡大によって、古来より続いた国営「夢解き」という伝統は衰え、国はむしろ夢判断・夢占いには関与しなくなり、そのため、逆に「夢解き」が民間に広まっていきます。国に独占されたものが民間に開放された、とも言えます。鉄道(JR)や通信(NTT)が、民営化したのに似ています。

JRもNTTも民営化することで、様々なしがらみがなくなり、独占による形骸が打破され、競争原理が働くことによって、業界が活性化したのと同じように、中国の夢判断、夢占いもここから急発展していくことになります。

夢判断、夢占いが国営ではなくなったことは、王侯貴族や官僚など上流階層の人々がそれらを行わなくなった、信じなくなったわけではありません。むしろ、一般庶民から、高貴な身分の方々まで、上から下まで、分け隔てなく、夢判断、夢占いというものを受け入れられるようになった、と考えた方がよいようです。これも、夢判断、夢占いが中国人の間に広く深く根付くようになった要因のようです。

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