夢エピ。今回は、「痴人说梦」。
「痴人説夢」。宋の惠洪『冷斎夜話・痴人説夢』やそのほかにも、痴人のほか、「醉人」「痴儿」「呆人」も同じような意味で使われてきました。もともとはお間抜けな人に夢のお話をすると、そのお間抜けの人はそれを信じてしまった、ということで、妄想に基づいた信じがたい、絶対に無理な話をすることなどの意味。現在では、お間抜けな人のとんでもない話という意味でも使われます。
唐の高宗(628年-683年、在位649年-683年)の時代、大変な修行を積んだ高僧が諸国を漫遊していた所、ある人が高僧に話しかけました。
ある人「ご芳名は何でしょうか?」(姓何?)
高僧「名前は何です」(姓何)
ある人「ご出身の国はどこでしょうか?」(何国人?)
高僧「何の国です」(何国人)
この高僧の死後、高僧を顕彰して、碑を建てようとしました。しかし情報が全くなかったので、上記のやり取りをそのまま使うことにしたところ、「大師姓何,何国人」という碑が出来上がってしまいました。
中国・中国語において、「何」という姓も、国名もあってもおかしくないものですが、一般的に「何」は疑問(What)を意味します。そのため、碑を普通に読んでしまえば、「高僧は名前は何? どこの国の人?」ということになってしまい、意味が通じません。
高僧は、お間抜けな人に夢みたいなお話をしたら、お間抜けな人はそれを信じきってしまった、という笑い話になります。
「夢みたい」というだけで、「夢」そのものとはあまり関係ないお話でしたが、中国・中国語における「夢」の理解には役立つものだと思います。
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